Two men laughing in front of a ferris wheel

Shoppable ARが、eコマースを変える

当記事は、Snap Inc.のVP Global Agency and Brand PartnershipsであるDavid Roterと、Marketing Science LeadであるHeather O'Sheaが執筆し、日本語に翻訳したものです。

 

拡張現実(AR)がショッピングやブランドエクスペリエンスの未来を再定義しています。ARは人々が店舗に行かなくても、ブランドや商品を間近で体験できるようにし、「買う前に試してみる」ことや、「比較検討する」ことが簡単にできるようにしています。ブランドにとって、ARはビジネス課題を解決するにあたって非常に有力なツールです。返品率の低減から没入感のあるエクスペリエンスによるロイヤルティーの向上まで、ARは従来のeコマースをはるかに超えて潜在顧客へアプローチする道を開きます。スマートフォンの所有率とカメラの使用率の上昇が、ブランドにとっての拡張現実の影響を高めています。「Augmented Human」の著者である Helen Papagiannisは、Harvard Business Reviewに掲載された記事の中でこれらの傾向について詳しく説明しています[1]。「ARは消費者の購買活動に膨大な価値を付与できることを証明した」と結論づけています。昨年、SnapchatはShoppable AR フォーマットの実験を行い、パフォーマンスチャネルとしての拡張現実の役割を評価してきました。それは、娯楽や楽しみを超えて、ビジネスの成果を促進する真の実用性につながるものです。今回の調査結果は、ブランドがeコマース戦略を強化し、ビジネスを将来の消費者の習慣に対応させる準備をするための計り知れない機会を示しています。

 

拡張現実はまさにフルファネルのフォーマットです。ブランドはSnapchatでのARの活用により、ブランドについての会話を可能にし、人々に没入感のあるエクスペリエンスをもたらし、製品の試着や自宅での視覚化を容易にし、さらには教育に役立つフォーマットを有効にしています。このように、拡張現実はフルファネルのパフォーマンスを提供することが分かりました。調査会社Kantarと行ったグローバルなメタ分析の結果、SnapchatのCPGキャンペーンにARレンズが使用されている場合、Kantar社のグローバルCPG市場基準のベンチマークと比較して、広告認知度が2.5倍、行動意図が1.1倍上昇することが明らかになりました[2]。この傾向は小売業にも当てはまり、Snapchatの小売キャンペーンでARレンズを使用すると、Kantar社のグローバル小売市場と比較して、広告認知度が2倍、行動意図が2倍に向上しています[3]。ブランドの向上だけでなく、拡張現実キャンペーンは大きなROIももたらします。アメリカ合衆国では、SnapがNCSolutionsと提携し、2年以上にわたるSnapchatのCPGキャンペーンの分析を行いました。ARレンズを使用したキャンペーンでは、レンズを使用しないキャンペーンと比較して平均46%以上の普及率の上昇がみられ、売上も14%上昇したことが確認できました[4]。このように高い売上高成長率から、ブランド力の高いAR体験は、従来のメディアよりも迅速にユーザーに影響を与えられることを示しています。

 

また拡張現実は商品の試用や試着の未来像としても注目されています。2億人近くのSnapchat利用者が毎日拡張現実に触れており[5]、その46%がARやVRをショッピングツールとして利用したことがあります。また、人々の関心は高まり続けており、約10人に8人が購買体験を向上する方法として、身近な空間で商品を視覚化することに興味を持っています[6]。Snapchatのカメラで日常的にARを使用するという行動を確立し、消費者は、この技術を実際の買い物や、商品比較の方法の一部として、本格的に取り入れる準備ができています。

 

2020年、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、自宅にいながら安心してブランドと交流したいという人々の要望を受け私たちはShoppable ARフォーマットについて、さらに踏み込んだ研究を始めました。dentsuのクライアントを含む一部の広告主と提携し、2020年の第3四半期から第4四半期にかけてこれらのフォーマットをテストしました。SnapMLというツールを開発し、ユーザーがSnapchatのカメラで靴、サングラス、化粧品などの商品を試してその商品が気に入ればシームレスに取引できる機能を提供しました。このような臨場感ある体験は、広告主に大きな成果をもたらしました。これらのキャンペーン10件中9件で広告認知度が向上し[7]、カメラを使用した臨場感のある体験ができることから、これらの商品体験レンズキャンペーンは、第3四半期~第4四半期のSnapchatの基準値の2倍の確率で人々の購買意欲を高めたことが分かりました[8]

  

DentsuはSnapchatと提携して、2つの秀逸なShoppable ARキャンペーンを実施しました。Gucciは世界初のARシューズ「試着」キャンペーンにSnapMLの技術を導入し、Snapchat利用者がGucciの靴を仮想的に試着できるようにしました。ブランドの最新の靴を試着したSnapchat利用者は、「Shop now」のボタンを介して、レンズから直接靴を購入することができ、結果的にプラスのROASを生み出しました[9]Dior (LVMH) は、ビジネスアカウントを仮想店舗として使用し、B27スニーカーの発売に合わせて複数のレンズを立ち上げ、キャンペーン全体で3.8倍のROASを達成しました[10]

 

 

AR(仮想現実)は、もはや単なる実験ではありません。多くのマーケターにとって、eコマース戦略の中で、中核をなす要素となりつつあります。さまざまなARのフォーマットの活用により、ファネル全体でマーケティング目標を達成できます。また、より多くの消費者がARによる購買体験を求めるようになったため、高い成功率を誇るカテゴリー内のショッパブル (購入可能) なイノベーションを所有する機会を得ました。Snapchatのようなプラットフォームは、小売業者がこの強力な新しいフォーマットを利用するにあたって、最適な立場にあります。Snapchatには、1日あたり2億6500万人のアクティブユーザーが存在し[11]、そのうちの2億人近くが、日常的にARを利用しています[12]。AR製品は、消費者のニーズに応えて、実用性とコマースに対応するように進化してきました。また、優秀なクリエイティブ戦略チームと、Lens web builderのような無料のターンキー製品によって、広告主が簡単にクリエイティブを構築できるようにしています。これにより、ブランドは、eコマースへのアプローチを将来に備えたものにしながら、成長を遂げるという新しい機会を得ることができます。

 

 

[1] Source: Helen Papagiannis, “How AR is redefining retail in the pandemic”, Harvard Business Review, October 2020

[2] Source: Kantar Snapchat CPG campaign brand lift meta-analysis commissioned by Snap, Inc., February 2021

[3] Source: Kantar Snapchat Retail campaign brand lift meta-analysis commissioned by Snap, Inc., February 2021

[4] Source: NCSolutions CPG Reaction studies Q1 2017 - Q4 2019

[5] Source: Snap Inc. Internal data Q1 2020. See Snap Inc. public filings with the SEC.

[6] Source: Alter Agents study commissioned by Snap, Inc.; May 2020

[7] Source: Snap Inc. internal data as of February 2021

[8] Source: Snap Inc. internal data as of February 2021

[9] Snap Inc. internal data June 28-August 17, 2020

[10] Source: Data from Snap Ads Manager as of October 29 - December 20, 2020. Lookback window: 28 days post-swipe, 1 day post-view.

[11] Source: Snap Inc. internal data Q4 2020 vs. Q4 2019. See Snap Inc. public filings with the SEC.

[12] Source: Snap Inc. Internal data Q1 2020. See Snap Inc. public filings with the SEC.