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DTCチャネルを通じたカスタマーエクスペリエンスの向上方法

新型コロナウイルスが大流行している中、人々はライフスタイルやショッピングの習慣を見直さざるを得ませんでした。オンラインショッピングの普及に伴い、消費者はブランドやプラットフォームに対して新たな期待を抱くようになりました。当記事では、小売のサービス化 (Retail-as-a-Service、 略称:Raas) について、またオンラインショッピングを行うブランドがショッピング体験を向上させる2つの有効な方法、アシステッドコマースと決済・配送サービスについて考察します。

 

 

小売りのサービス化「Raas」が新たな常識に

 

新型コロナウイルスの大流行は、人々の日常生活の中で新しい習慣を生みました。なかには一夜にして起こった急激な変化もあり、不確実で不安な時代に信用、安全、便利、そして価値の必要性を再考させられました。ショッピングも例外ではなく、もう後戻りすることはないでしょう。

 

メーカーを含むすべての企業は、第三者である流通業者を通さずに、お客様に直接販売するルートを求めています。

 

dentsu COVID-19 Recovery Navigator レポートによると、消費者の3分の2 (67%) は、パンデミック終息後も、これまでと同じ頻度、またはそれ以上の頻度でオンラインショッピングを利用する意向があります。半数以上 (56%) が、これまでと同じ頻度か、それ以上の頻度で非接触型決済を利用する意向を示しています。また、半数近く (46%) の消費者が、これまでと同じ頻度か、それ以上の頻度で店頭での受け取りや配達を利用する意向を示しています。

 

出典: dentsu, Taking the Pulse | COVID-19 Recovery Navigator, Wave 15, 1,000+ respondents in the US, January 2021

 

多くのマーケターは以前の状態に戻ることはないと考えています。最新のiProspect Global Client Surveyによると、調査対象となった61%のマーケターが、消費者にとって利便性の高い体験を構築することが、ビジネスの成長を生み出す最も有効な手段だと考えています。

 

新しいサービス、新しい価値を通じて、いかに高い利便性を消費者に提供するかが重要な課題となっています。

 

 

DTCチャネルを通じた顧客体験の改善方法

 

アシステッドコマースがオムニチャネルの世界におけるオンラインショッピング体験を促進させる

 

消費者にとって利便性の高い体験を構築することは、ビジネスの成長を実現するための重要な鍵となります。このため、アシステッドコマースは、ブランドや小売業者がオンラインショッピング利用者と関わる際の効率的な方法となっています。高度なコミュニケーションツールの普及と、ライブ動画の台頭により、オンラインショッピング利用者とリアルタイムで有意義かつパーソナライズされた方法で対話するための柔軟なソリューションの開発が可能になりました。

 

Salesfloor を例に挙げます。同社はビデオ、ライブチャット、電子メール、SMS、予約リクエスト(バーチャル、または店舗)を通じて、オンラインコマースのウェブサイトを閲覧しているユーザーと、ローカルの店員をリアルタイムでつなげています。 Tolstoy もまた、ユーザーが簡単な質問に答えていくと最適な商品を提案するショッパブル動画や、非同期ビデオチャットによる対面式パーソナルショッピングなどのソリューションを提案する革新的なプラットフォームです。これらのオムニチャネルと高度にパーソナライズされたクライアンテリングのアプローチにより、ユーザーにとってよりシームレスなショッピング体験が可能になります。

 

Cadillacは高級車業界でアシステッドコマースに移行したブランドの成功例として挙げられます。Cadillac Live,を通じて、専門家とのライブビデオの会話によるグループおよび1対1の車両試乗を提供し、ショールームでの車両ショッピング体験を一新しました。

 

決済・配送サービスの新たな可能性を提供

 

利便性の高い顧客体験の提供は、製品の発見だけに留まらず、カスタマージャーニー全体へと広がっています。

 

柔軟な支払い、迅速な配送、持続可能な配送オプションは、より要求の厳しい顧客とのかかわりを目指す先進的なDirect to Consumer(DTC)ブランドにとって、今や標準となりつつあります。

 

例えば、Buy Now Pay Later (後払い決済)は、ファッション (例:H&M) からエレクトロニクス (例:Sonos)、さらにはラグジュアリー (例:Dolce & Gabbana) まで、幅広い業界の多くのブランドが提供する金融サービスでブームとなっています。Klarna は4回払い、30日払い、最長36か月のファイナンス・ソリューションなど、金利手数料なしで複数の柔軟な支払いプランを顧客に提供したいと考えるDTCブランド向けの、大手決済サービスプロバイダーです。ブランドにとって、より融通の利く支払い方法を提供することは、新規顧客に商品を試してもらう機会や、平均注文額の増加へとつながります。

 

さらに、配送スピードと持続可能性は、DTCブランドがeコマースの提案にさらに盛り込むべき重要な検討事項となりえます。Omnitracs の調査によると、回答者の65%はより速く、より信頼できる配送 (1~2日配送) にはより多く支払ってもいいと答え、21%は配送割引を提供するロイヤルティプログラムにより多く支払う、40%は電気トラックなど環境にやさしい配送オプションを望むと答えています。

 

 

オンライン環境に依存する新しいショッピングスタイルを踏まえると、商品の検討から購入に至るためには、ブランドは消費者の期待に見合うショッピングサービスの提供が重要になります。アシステッドコマースと決済・配送サービスはマーケターが利便性を高めるための2つの有効な方法であり、他社との差別化を図ることができます。

 

 

Dentsuでは、お客様のブランド支援にあたり、アイデンティティとコマースソリューションを幅広く提供しています。詳しくはお問い合わせください。関連資料のダウンロードはこちら:Shopper DNA: The Future of Retail

 

 

当記事は、dentsu media、グローバル・コマース・ディレクターのDamien Lemaitreが執筆し、日本語に翻訳したものです。