デジタルマーケティング成熟化への近道をしませんか?
この1年半の間に起きた前代未聞の変化、特にパンデミックによるデジタル革新の加速、パーソナライズに対する消費者のニーズの急速な拡大、サードパーティCookieを活用したデータストリームの減少を受け、ボストン・コンサルティング・グループ (以下BCG) とGoogleは再び協力関係を結び、デジタルマーケティング成熟度の向上に与えた影響についての分析を行いました。
予想に違わず、2019年に行われた最初の調査以降、ブランド企業全体のデジタル成熟度が向上しています。またマルチモーメント (4段階中第4段階) ステージでは、9%の企業が最もデジタルが進んだマーケターとして現在運用しており、2%から大幅な伸びを記録しました。
すでにデジタルマーケティングの成熟化に取り組んでいる企業に、さらなる朗報があります。このBCGの新たな調査によると、より成熟したブランドは最初の調査以来、その効果と効率を向上させていることが明らかになりました。
18% |
29% |
2x |
売上高の増加(2019年から2ポイントアップ) |
コスト削減(2019年から16ポイントアップ) |
ブランドシェアの拡大(3%以上) |
このように大きく成長した企業は、その成果をすでにあげており、より成熟した競合他社と比較して、停滞しているまたはわずかな成長しかしていない企業との差は広がっているのです。
しかし、もし貴社がまだデジタル成熟度の向上に着手していないとしても、他に策がないわけではありません。この新しい研究では、急速に変化する状況の核心に迫り、デジタル成熟化を加速させ、今日からでも企業が迅速に対応できる4つの要素を明らかにしています。
現在貴社がどのような段階であれ、2019年に定義されたデジタルマーケティングの6つの柱は、今も変わらず成功に向けた必須事項となりますので、ご安心ください。
以下の4つのアクセラレーターをバランスよく開発している企業は、成熟段階が同じだとしても、より効果的かつ効率的なビジネスの成果を生み出しています。成熟度の高いブランドにとって、これは看過できません。これらのアクセラレーターをさらに発展させることで、停滞している同業他社と比較して、売り上げと効率が2%向上する可能性があるのです。
アクセラレーター1: [技術面] ファーストパーティデータを軸とした好循環の構築
ファーストパーティデータを活用する ――
人々が同意のうえで直接共有する情報によって、企業は常にオーディエンスに関する貴重なインサイトを収集できます。それを戦略的に分析することにより、カテゴリーにおける競争優位性を得ることができます。プライバシーに関する懸念や規制の変更により、ファーストパーティデータの価値は高まっており、データ自体への同意を得た上で、アクセスを維持することが主な目的となっています。
現在のデータソースを把握する投資をまだ行っていない企業は、データの品質を自社の機能全体の基盤とするために、今すぐ投資を開始する必要があります。これにより、新たな規制の変更やプライバシーに関する懸念に対処できます。
デジタル技術が成熟した組織では、ファーストパーティデータ(オンラインとオフライン)のすべてのソースにわたる全体像を把握するためのさらなる投資と、長期的なデータプライバシーを担当するクロスファンクショナル・データプライバシーチームの設立が鍵となります。
また、貴重なデータを共有してもらうために、消費者にどのように働きかければよいのでしょうか。
成功の秘訣は、購買行動の各タッチポイントにおいて、消費者の言葉で語られた説得力のあるストーリーを作り出すことです。つまりファーストパーティデータについて双方向の信頼価値の交換を示すストーリーでなければなりません。このようなストーリーがなければ、企業は消費者との信頼関係を築くことができず、ファーストパーティデータへの長期的なアクセスを維持することが困難になるでしょう。
この最新の調査によると、ファーストパーティデータを活用している企業は、データ統合が限定的な企業に比べて、1回のインタラクションで1.5倍の収益増を生み出すことができます。
アクセラレーター2: [技術面] 予測モデルを用いた、チャネルを横断する真のエンドツーエンド測定機能の開発
消費者の購買行動に沿ってペイド、アーンド、オウンドのインタラクションの効果を測定する機能は、長い間、マーケティングの聖杯として求められてきました。企業はこのために、顧客との価値交換を継続的に最適化する、効果的な測定システムを構築する必要があります。
サードパーティデータソースに陰りが見えてきた今、プレシジョン・マーケティングはプレディクション・マーケティングの時代へと進化を遂げなければなりません。同調査では、先進的なマーケターでさえ、この機能をまだ確立していないことがわかりました。現在、予測モデルを効果的に活用しているのは、マルチモーメント (第4段階) 企業の42%とコネクテッド (第3段階) 企業の36%に過ぎませんでした。
真のエンドツーエンド測定機能を確立するために、企業はクロスチャネルおよびクロスデバイス測定による一定のKPIのみに注目するのではなく、購買行動全体にわたる予測モデルの展開へと視野を広げる必要があります。
今後はモデル化されていくでしょう。高度な分析の活用によってのみ、これらの予測モデルは、現在サードパーティCookieによって補われているデータ欠損を通り抜け、実際のコンバージョンに代わってモデル化されたコンバージョンに、顧客とのタッチポイントの価値を帰属させることができるのです。
アクセラレーター3: [運用面] テスト・アンド・ラーンアプローチに基づくアジャイル・パフォーマンス・ループの設定
2つの技術的なアクセラレーターの重要性は、組織のアジリティの必要性を再確認させるものです。ファーストパーティデータサイクルの構築やテスト・アンド・ラーンアプローチは、従来のサイロ化した組織構造では不可能です。それにもかかわらず、部門を横断したアジャイルなチーム編成を持たない企業は、相当数に上ります。
同様に、リアルタイムレスポンス機能(キャンペーンパフォーマンスに関するデータシグナルが表示される、関係者全員がアクセスできるダッシュボードなど)もまだ一般的ではありません。マルチモーメント・マーケターはデータ間のコネクションを構築し、部門横断的なチーム間でほぼリアルタイムにデータを流すことができるようになりました。
アジャイルなチーミングはサイロの崩壊を防ぎ、急速に進化する消費者行動に効果的かつ効率的に対応できるようになります。
アジャイルなチーミングの確立に向けて第一歩を踏み出すには、部門横断的なチーム間の連携を促し、現在のトレンドとインサイトに基づいた仮説で、強力かつ戦略的なテスト・アンド・ラーンカルチャーを促進することが必要です。
アクセラレーター4: [運用面] 新しいスキルやリソースへのアクセスを確保する
スキルやリソースの強化において、企業は主に戦略的なスペシャリストとのパートナーシップによってスキルを補完する一方で、長期的には社内外の能力の最も効果的なバランスについて綿密な分析を行い、ハイブリットなアプローチを取ることができます。
このハイブリットモデルの成功は、例えばクリエイティブコンテンツ、戦略アドバイス、テクニカルな専門知識などの領域を社外パートナーに頼り、データ分析やアクティベーションに注力した社内スキルと併せて調整できることでしょう。
魅力的な育成・定着プログラムを構築し、プロフェッショナルとして成長できる環境を整えて、「大量辞職」という苦難を乗り越えるよい機会です。
では、どのようにペースを上げていくのでしょうか
デジタル成熟化への道のりはすでに始まっています。成熟度の低い企業は、今日はマルチモーメントのフィニッシュ地点にいても明日にはコネクテッドに落ちてしまうかもしれないので、ペースを維持するには取り組みをさらに加速させる必要があります。それは気の遠くなるようなことかもしれませんが、決して不可能ではありません。
特に成熟度の高いレベルに移行する際には、経営幹部のスポンサーシップが鍵となり、そのリーダーシップに注目が集まります。そうして初めて、組織全体の関係各所の調整が始まり、顧客価値と信頼が将来的なビジョンの中心に据えられるようになるのです。
成熟度曲線上のどの位置にいるかに関わらず、上記の4つのアクセラレーターは、長期的かつ持続可能な成長を促進する上での強力な支えとなるでしょう。
調査「The fast track to digital marketing maturity」の詳細を読む (英語)